言葉の遅れが気になるときの療育のポイント
2018-03-19 更新

はじめに
発達障害の特徴のひとつに、幼児期における「言葉の遅れ」があります。なかなか意味のある言葉を話すようにならなかったり、単語は言えるのに会話ができないといったことです。乳幼児検診などで言葉の遅れを指摘され、その後専門機関を受診して発達障害の診断を受けるケースは稀ではありません。ここでは、発達障害の子供たちの言葉の習得について、詳しく説明していきます。

人が言葉を習得するまで
人は生まれたときから言葉の習得をスタートしていると言われています。もちろん、いきなり意味のある言葉を発するということはなく、まずは言葉を身につけるための準備から始まります。この、言葉を発する前の期間を「前言語期」と呼び、人や物、音に対する興味が育まれていきます。
そして1歳を過ぎる頃に、「ワンワン」や「ブーブ」などのように意味のある単語が少しずつ出始める「単語獲得期」へと移行し、2歳〜3歳頃には語彙も増えて、「ワンワン、きた」「ブーブ あっち いった」というように2語文や3語文が話せるようになります。
3歳を過ぎると、コミュニケーションがよりスムーズにとれるようになり、簡単な状況説明ができたり、質問に答えたりできるようになります。そして学童期で文字の読み書きができるようになり、さまざまな表現を使い分けるようになっていきます。
発達障害の子供の言葉の習得
言葉を習得するためには、以下の3つのステップが必要です。
- 1.単語や言葉を覚え語彙を増やすこと
- 2.言葉の持つ意味や内容を理解すること
- 3.言葉を頭の中で組み立てられること
通常、子供たちは親の言葉や周囲の会話を聞いて、自然とこの3つを習得していきます。しかし、発達障害の子供の場合、この3つのいずれか、もしくはその全てにおいて習得することが困難となり、言葉の習得が遅れてしまいます。
発達障害の子供に言葉を教える場合は、この3つのステップを教えることが必要です。
まずはできるだけ多くの語彙をインプットしていきます。1単語づつ覚え語彙数を増やし、その後、2語文、3語文と少しずつ高度な文章へと進んで行きます。
次に、言葉の概念を育くむトレーニングを行います。言葉の意味や物の分類、抽象名詞などを覚えます。これは理解力につながる大切な部分で、しっかりとしたコミュニケーション力を身につけるためにも欠かせないポイントです。
こうしたトレーニングを繰り返しながら、更に言葉の組み立てについて学んでいきます。このように、3つのステップで教えることで一つ一つの言葉の意味を理解し、応用して使えるようになっていきます。
このような言葉のトレーニングは独自の方法で行うことは難しく、専門の教材を利用する方法が効果が高くおすすめです。
また、発達障害の子供たちには、興味を示すことに極端な偏りがあることが多く、自分以外の人への興味がほとんどないことが少なくありません。そうした場合、相手に何かを伝えたいという気持ちが生まれず、言語の習得が遅れてしまうこともあります。
そういった場合は、まず興味の幅を広げて、人への興味を引き出すことから始めるようにしましょう。
コラムメニュー
発達障害の特徴
発達障害の原因
発達障害は遺伝するの?
発達検査の方法や診断結果
自閉症の特徴
自閉症への対応と治療方法
アスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群への対応と治療
多動性障害ADHDの特徴
多動性障害ADHDへの対応と治療
学習障害(LD)の特徴
学習障害(LD)への対応と治療方法
発達障害の療育の種類と内容
発達障害の家庭療育のメリット
発達障害の支援のポイントまとめ
発達障害から起こる二次障害
障害者手帳の取得について
発達障害児の進路
発達障害児の就学先決定までの流れ
言葉の遅れへの療育のポイント
発達障害と感覚の問題
発達障害とワーキングメモリー
発達障害と自己肯定感
ペアレントトレーニングとは
発達障害と脳












脳機能の障害とは?
原始反射の残存
脳の機能分化
脳のコントロール機能の持続法
脳の混線状態
感覚統合あそび