自閉症への対応と治療方法
2018-03-14 更新

はじめに
自閉症は症状が軽い人を含めると、約100人に1人の割合でいると言われている発達障害の一種です。自閉症の中にもIQ70未満の知的障害を伴う自閉症と、IQ70以上の高機能自閉症といわれるものがあり、知的障害を伴う自閉症は患者全体の75%程度となっています。自閉症は先天性の脳機能障害によって、人との距離感が理解できず不適切な行動を取る、うまくコミュニケーションがとれない、相手への想像力が欠如するなど、他者との関わりにおいて問題を発生させることが多い疾患です。
今回は自閉症を持つ子供への対応と、治療法についてご紹介します。

医師による自閉症の診断と治療
乳児に対する自閉症の診断は極めて難しく、ご両親が違和感を感じても、すぐに検査を行えるものではありません。1歳くらいまでは順調に成長していても、2歳頃から成長が逆戻りしてしまうこともあります。
自閉症の診断は3歳以降に行われるのが一般的で、言語検査や発達検査、行動検査、絵画検査などが行われ、自閉症と診断されると医師による治療が始まります。
自閉症の子は脳機能障害を持っていますが、これは脳の全体に問題があるわけではなく、一部分に問題が起きていることがほとんどです。そこで問題を起きている部分を治す、というよりは、問題を他の部分で補えるように鍛えるため、自閉症治療では「行動療法」という適応性の訓練を行います。
それ以外に、自閉症の子が持つ興奮や不安を軽減させるような投薬治療を行うこともありますが、これらの薬は副作用を伴い、副作用により子供に新たな苦痛を強いる危険性がある上、自閉症の子はその苦痛を表現しにくいという理由もあり、あまりお勧めはできません。
家庭内における自閉症患児への関わり
家庭内でも、簡単な療育は可能です。例えば、頭と手先を使うパズルや、紐にさまざまな種類のビーズを通す遊び、色を判別しながら同じ色同士で分けていく色分けなど、遊びを交えながら、ルールを教え、理解させるものが中心となります。
忘れてはいけないのは、自閉症の子と遊んだり、生活のための行動をするときには、始まりと終わりを伝えること。始める前には「これからビーズ通しのゲームを始めます」と言い、終わりには「これでビーズ通しのゲームを終わります」と声をかけます。
ただし、子供が飽きてしまったときには、途中であっても続ける必要はありません。終わりにすることを告げて、片付けの時間にしましょう。
自閉症の子を持つご両親の困難と解決法
自閉症の子供と接する中で、ご両親も疲れ悩むこともあるでしょう。このようなときは、その思いを医師や看護師に相談をしてください。地域の療養センター(発達支援センター)に支援を受ける方法もあります。周囲の支援を受けることで、安心感が生まれ、不安の軽減に繋げることができます。
ご両親が心に辛さを感じていると、自閉症の子はそれを察知して療育が進まなくなることもあるのです。自閉症の子もゆっくりではありますが、成長していきます。その成長には幼少期における支援が大きく影響します。自閉症の治療のためにも、ご両親が心を安定させること。辛さを抱え込まず、さまざまな機関に助けを求める勇気を持つことが大切です。
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